書肆つづらや

腑に落ちる

2022年12月08日

懸案のwebサイト制作にあたっては、当店の目録や封筒の印刷をお願いしているJ社さんを頼ることにしました。2010年第1号目録発行以来、紙質や色味、使用する書体や割付、版下制作ソフトに関することなどあれこれと相談しながら進めてきたのですが、そのたびいつも120%納得の着地点をご提案くださる営業担当のTさんに関与してもらえれば本件も安心だと思ったからです。Tさんは、当店の(控えめに言って)ヘンテコな古書目録の準備段階からすべてご覧になってきた方ですから、間違っても「らしくない」カッコいいwebサイトが立ち上がってしまう心配はありません。

実のところ店主(私)にはデザイン伝達能力というべきものが甚だしく欠如しておりまして、およそ「ものの見せ方」を選びとることにかけて、さらにいえば「見せたい」方向性を言葉で的確に伝えることにかけて、実に残念な感性しか持ち合わせていません。webサイトの準備を散々あと回しにしてきたのも、本当のところそのことと無関係ではありませんでした。

 

最初の打合せでエンジニアのOさんを困らせてしまったのは、「オンライン販売はしないけれど、当店が何を扱っている店であるかは明確に伝えたい」とお願いしておきながら、トップページのメインビジュアルとして実際の商品画像を流用する案にはどうしても気後れしてしまい、ならば似たような史料画像を借りてきて使用しては?という代替案も即座に拒否したことでした。「商品写真を掲載した目録表紙の画像なら五十点ほどあるんですが、これを使えませんか?」と尋ねてみたところ、OさんとTさんの顔色が同時にドヨンとくすんだので「あ、だめなんだな…」と察知。

結局、商品になる(=目録に採録する)前の品物をあくまでも室内風景の一環として新たに撮影しようというところに落ち着き、後日、市場から届いた買上品の大箱を開封して中の文書をすべて無作為に書見台に積み並べたところを、そのまま撮っていただきました。その時の写真を加工して構成してくださったのが、このサイトのトップ画像です。

 

Oさんからテストサイトを見せていただいた時、しばし絶句しました。

「家文書」を前にした時に私が感じる圧倒的な存在感と美しさについて、これまで人様になかなかうまく説明できず、時に歯がゆいような思いもしてきたのですが、そういうものをまるごとギュッと凝縮して不意に目の前に差し出されたようで、びっくりしました。なんだか萬のモヤモヤが一気に吹っ飛んだ心地がします。写真ってすごい。

webサイトって8割は写真だと思うんですよ」とおっしゃったOさん、少なくとも当店のサイトに関するかぎり、たしかにおっしゃるとおりだと思いますよ! 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

それにつけても私の撮る目録写真の拙さときたら…

なんとかせねば。

練習しよ。