書肆つづらや

納まらない

2022年12月30日

いろいろあった2022年もおかげさまで大過なく商いを続けることができ、昨夕恙なく仕事納めとなりました。

 

今日は大掃除ならぬ小掃除のためだけに店に来て、正午前に完了。

あとは洗ったエアコンのフィルターが乾ききるのを待つばかりとなり、やれやれといったん腰掛けたら、傍らの作業台がいつになくサッパリと片付いているのがどうも落ち着きません。「待っている間に少しだけ…」と思い、移転時から事務所の一角にずっと積みあがったままで気になっていた未着手品の山の中から大箱を一つだけ引っ張り出して開封してみました。

すると中には落ち札(業者の市場で開札者が落札価格に赤丸をつけた札)が付いたままの複数口が収まっていて、台の上に並べてみると、たちどころに「あの時」の市場の情景が脳裏によみがえります。

 

あれは数年前、戦前から続いた名店が店仕舞いの準備をされることになり、いくつもお持ちだった倉庫の在庫を市場に順々出品なさった期間中、近世史料が出るたびに当店も頑張って買い続けたのですが、まさにその最後の最後、おそらく倉庫の隅で長い長い年月塩漬け(もちろん比喩です)になっていた近世史料が、複数の文脈を持つ複数地域のものが互いに錯綜した状態で山のように出て来た日、とにかく夢中で入札し、落札できた品々の一部が、いま目の前に並んでいます。

 

その箱の腹をよく見ると、なにやら通し番号らしきものを記した脇に「いっしょに調べること!」と書き添えた私の筆跡が残っており、どうやらツレの箱がいくつかあるようです。箱の山を掘り返すと、同じ標記のある箱があと6箱見つかりました。つまり、「これらを同時に開けて、一点ずつ目を通して内容を確認し、組み直してそれぞれを復元せよ」と過去の私は申しております。そうか、移転前はこの量を捌ける広さの作業台がなかったんだ…

 

それにしてもその作業、想像するだに「えらいこっちゃ」です。そんな悠長な作業に嬉々として没頭出来るのは、世の中の人たちがこぞって休んでくれるお盆と年末年始くらいのものでしょう。さあ私、いつやるの?

 

…ともあれ、みなさまどうぞよいお年をお迎えください。