書肆つづらや

午前2時に目が覚めた

2024年08月01日

月曜日、ここ2ケ月寝ても覚めても没頭してきた目録原稿がとうとう仕上がった。

データと紙焼きをJ社さんに届けて事務所に戻ると、ソファに倒れ込んでそのまま17時まで熟睡。

目覚めると頭の中のonoffスイッチがバカになっていた。

夜になっても寝付けず、そのくせ昼間はうすぼんやりと眠ったように焦点の合わない頭でヒラヒラと漂いつづける。

 

火曜日の古書市場は特選市で、良品の数々で埋め尽くされた会場には全国から詰めかけた同業者たち。その熱気を尻目にどんどん冷めていく自分の無気力さに、呆れた。いつもなら30分で片付く事務仕事に2時間もかかって、まいった。問合せメールへの返信がどうしても打てず、仕方なくいったん見なかったことにした。

とにかくいろいろひどかった。

 

うすぼんやりと眠ったように過ごしていても、腹だけは正確に減る。

火曜の夜、空腹に命じられるまま、ほとんど無意識のうちにありものできつねうどんやらなんやらを作ったら、これがいつにも増して美味しく出来て、笑った。

(ごはんのことならこんなにチャチャッと出来るのか…)

お腹が満たされると文字を追う余裕が出来て、キネ旬の最新号を飛ばし読みしていたら0時になった。

眠くはないが寝なくちゃなぁ…

 

そういえばパリ五輪が始まっているのだっけ?

ふと思い出してテレビを点けると、ちょうどバスケットボール男子日本代表の1次リーグ戦がいままさに始まろうというタイミング。

そうか日本代表、自力で出られてよかったなあ。対戦相手はフランス代表、彼等のホームゲームだしなかなか厳しそうだけど、せっかくだからちょっとだけ見てから寝よう。

 

そんなふうに思ってほんの気まぐれで眺めていると、思いのほか点差が開いていかない。だんだんと引き込まれて第1Q終わる頃にはしっかりテレビの正面に座りこむ。

2Qで一瞬だけ追いついた。

後半3Qで逆転、なんてことだ、ちょいちょいリードするじゃないか!

日本のバスケ、なんだか想像していたのと全然違う。

後半第4Qのなかばで八村が退場してからが、ますますすごいことになっていく。

最後の数分間、あの5番のポイントガードから目が離せなくなった。

彼がいる日本チームの戦いっぷりを見ていると、バスケットボールプレイヤーにとって身長が低いことは「ひとつの個性」にすぎないと、あたりまえにそう思えてくる。

固唾をのんでゲームの行方を見守った最後の長い長い十数秒間。

バスケが今こんなにおもしろいなんて全然知らなかったよ!

 

延長戦の果てとうとう試合終了

すごいものを見てしまった

 

今日は口惜しくも勝ちきれなかったけど、そう遠くない未来、日本のバスケチームは独特のこのスタイルをさらに進化させて、ひょっとしたら世界を席巻する日がくるかもね。

だって今日幸運にもこの試合を見たたくさんの子供たちが、そして中でもとりわけ運動神経に恵まれた子供たちがきっと「バスケットボール」を選ぶだろうから。

そのときが来たら、誰にも「まぐれ」だの「大金星」だの言わせずに堂々と勝つだろう。

 

すっかりバッチリ目が覚めて、私も朝が待ち遠しくなった。